2022.5.27
ホームで0-4という大敗を喫した川崎フロンターレ。この大量失点は今季のリーグ戦で3度目のことで守備の崩壊に目が行きがちだが、実は、攻撃の不調も深刻だ。
今季リーグ戦15試合で複数得点をしたのは7試合。首位争いをする鹿島アントラーズが8試合、横浜F・マリノスは10試合で、3チームでは最も少ない数字だ。今季の通算得点数で見ても川崎は「20」で、首位争いをする鹿島アントラーズの「26」、横浜F・マリノスの「28」よりも低い数字となる。
1試合平均で見ると、今季の川崎はおよそ1.33得点ということになるが、昨季の2.13点、一昨年の2.59点よりも1得点以上低い。2連覇した2シーズンができすぎた得点数だったとしても、やはり、3連覇を目指すチームとしてはもう少し上積みが欲しい数字である。
今季も川崎は首位争いを繰り広げているが、それを下支えしているのが堅守だ。リーグ戦15試合で、完封した試合は9試合。“ウノゼロ”での勝利数は4で、1点差で勝利したのは5試合。今季の勝利数の半分以上が最少得点差であり、際どく勝ち続けていることが分かる。
チャンスを作り続けている試合もあるが、相手にボール保持を許す時間も増えている。結果と内容の両面で圧倒的な強さを見せる場面が少なくなっている。
■得点できていないことが与える影響
川崎は遅攻に特徴があり、相手を押し込んでからの攻撃に迫力があった。特に、かつては左サイドに人を集めて短いパスをつなぎながら相手を動かし、どこかのタイミングでドリブル突破などの勝負に出ていたが、今年は、この形を作っても最終的に攻め切れない場面が散見される。また、ボールを奪われてもすぐにボール奪取する力強さもあった。しかし、今年はボールを取り切れずに保持されることも多い。 この2年で、4人の主力が海外に移籍した。守田英正、三笘薫、田中碧、旗手怜央。いずれも日本代表で存在感を増すような実力者で、その穴が大きいことは間違いない。何より、選手が変わったのだから、当然、戦い方も変わる。チームとして、その最適解をまだ見つけられないでいるように見える。
必ずしも攻撃で圧倒しなければいけないわけではない。堅守を武器に優勝したチームも、当然、過去にはある。ただ、川崎はその圧倒的な攻撃力を武器にJリーグ王者に君臨していた。
湘南と古巣対決となった山根視来は試合後、「最近は点が取れていない」とし、「そのちょっとしたズレみたいなのが、失点をすると少しずつ大きくなってくる」と得点不足が与える影響に言及している。 かつてのように得点を奪えないのであれば、22年の川崎はどう戦うのか。チームは今、その岐路に立っている。